2021-12-03 18:10:38
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コメント(4)
2012年に、東京駅丸の内駅舎が大正時代の姿で復元されました。数年がかりの大工事でした。
ところが、東京駅へ見に行った私は、強い違和感を覚えたのです。外壁が新品で、キラキラしていたから。見た目がクリアで、ノスタルジアを味わえなかった。
でも、考えてみれば、大正の落成当時は建物も新しかったはずなので、これこそが忠実な「タイムスリップ」だと言えるわけですよね。
映画などで昔の日本を描く際に、ノスタルジアを演出するために、セットや小道具をわざと古びさせたり汚したりすることがあります。あるいは、画面をあえてセピア調にするなど。
しかし、実際はそうじゃないんだと気付かされた一件でした。
例えばカセットテープやダイヤル式黒電話も、今でこそ懐古趣味のアイテムですけど、売り出された頃は最新技術のかたまりだったわけです。
そうであった以上、それらを使っていた当時の人々は、決して当たり前のように使いこなしていたわけではない。カセットも黒電話も、それなりに心を困惑させ、疲れさせ、社会問題とも直結していたはず。
ちょうど、現代のスマホのように。
逆説的ですが、レトロを入れた瞬間に、その物語は、人を救う(現実とぶつかり合う)力を鈍らせてしまうのかもしれませんね。
いつの時代も、今、目の前にある新品と、どう距離感を取り、折り合いをつけるか。
それこそが物語であり、普遍的に感動を呼ぶのだと思います。
初めまして、コメントありがとうございます。
ラジオのレストアというのが想像できず、「ラジオ レストア」でググってみました。これはハマりそうだなと思いました。特に画像検索が面白かったです。
ピカピカになさるのは大変・しかし楽しそうですね。
ブログをお訪ねし、雲月様の音楽作品、拝聴・拝見いたしました。音に合わせ楽譜をなぞっていく映像も新鮮でした。
塩谷文庫歌様
おっしゃるとおり、昔のCDとかは、それ自体は(名のとおり)コンパクトでも、機材を真面目にそろえると、かさばりましたよね。
でも、その子供部屋にて、いい音に囲まれてずっと過ごされたのなら、充実されてもいたのでは。
一昨日の「小説家になろう」空想科学ランキング一位に、塩谷文庫歌さんのお名前を見つけて、「おおっすごい」とつぶやいてしまいました。
コメントありがとうございました。
厠達三様
コメントかたじけのうござりまする。
お城というのが、厠様らしいなと思いました。
私は、復元されたばかりのお城を見に行ったことはないのですが、やはり新品でできておるのですね。
厠様が御指摘された「建物や持ち物に刻まれた歴史」と、私が今回書いた「過剰気味に演出されたレトロ感」との境界線は、じゃあどこなのだ、毎回厳密に区別し得るのか、と問われたら、それはそれで難しさを含む話かも、と思い始めています。